2012年4月10日火曜日

たった一日の晴れ間 その三

山行の粗方の紹介
新しい釜トンネル1310m
勾配11%とか。
抜ける一段と積雪量が違う
大正池の湖面は曇天を写し黒い
河童橋は強烈な風雪に鳴っている。
ここまでは除雪が済み
工事関係車両(電気・電話も)が頻繁

明神池までは
日帰り散策者もいる模様。
明神から先は冬経験者の領域
積雪は平均1m弱か。
雪解けは格段に遅いように思う。
新たな積雪も30㎝は軽く超えている
明神から先は梓川河原が歩きやすい。
この時期は融雪水が流れているはずだが
水流はどこにもない。一面の雪原
夏道、治山工事道路よりはるかにまし。

この強風下、サルたちは
木の幹の皮はがしに忙しい
上から下へ口にくわえて
体重利用で剥ぐ賢さ
目撃して改めて納得

2000mから上部の積雪量は
想像がつかない。
4月6日時点で登高スピードは
計算できなかった。
トレースをつけざるを得ないことは確かである。

横尾避難小屋周辺の積雪は
1m前後か。
涸沢入りは自殺行為に近いと感じた。
ここ毎日の降雪と気温の上下
表層、全層いずれの雪崩も起こっておかしくない。
時々、「ドーン」という響きが聞こえる。

蝶ヶ岳へのトレース付けのラッセルでも
表層の雪は
その下の締まった雪の表面に乗っかっている
スノ-シューが締まった雪面にかからないと
滑って登れない。
急勾配で堅雪と新雪
とても単独では一日は無理。

夏道を特に気にすることはない。
吹き溜まりを避だすけ、できるだけ緩斜面を狙い
直登かそれに近いジグで登れば
ほとんど夏道と前後する。







晴れていれば
1850mぐらいから槍の穂先が見え
登高に力が出るが
ガスの中では
果てしない樹林の中での
ラッセルは試練でしかない。

「いくぞー」と大声で気合を入れないと
ほんとに帰りたくなる。
単独でのラッセルほど辛いものはない。

樹林帯が密になり
枝に積もった雪を
潜りくぐりするようになると
2500m前後、樹林帯の限界である。

樹林帯を飛び出す寸前の
約一時間が勾配はさらに増す
雪はさらに深くなる
一番つらいところ、
気力あるのみの登りである。

ルート全体、平均ラッセル深は膝前後
今回スノーシューを初めて履いたが
その威力、能力の高さに脱帽
踵をアップするバーの
足への負担軽減は半端ではない。
一段の軽量化が進めば
さらに使いやすくなる。

しかし、下降時は慣れないと
スノーシュー後部が雪面をつかまないため
滑ってしまい、大転倒を数回した。
余程の練達が要る。

稜線直下は氷結してはいるが
距離が短く、氷結斜面としては緩斜面で
スノーシューでもアイゼンでも行ける
私は単独でもあり安全第一
アイゼンに変えて登った。

360度の展望
白い神々たちが迎えてくれた
40年ぶりのご対面
槍が、キレットが、カールが、ザイテンが、北尾根が
あったがままに、真っ白で、思い描いた通りに
そこにあった。
私の40年など
瞬きの一瞬にも満たなかったかもしれない
それを感じさせるほど
神々は変わっていなかった。
何度も何度も
「来たぞー」と
叫ぶ自分に気が付ついた。


翌日天気悪化の予報
即決定を下山
一気に釜トンネルまで
上高地まで11㎞
さらに釜トンまで6㎞
一気歩き
装備、残りの食料は一切合財を私
嵩張るシュラフ二個と個人装備は妻
私は来る時と変わらぬ重量となった。
妻が一気に歩いてくれることを願うばかり
最初は平均1.5㎞/h
着いて見れば
所要時間9時間
歩きっぱなし
よく頑張ったと妻をねぎらう
白骨温泉で筋肉をほぐし
山行完

















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